成功する経営者と、失敗する人の違いとは?


【其の12】成功する経営者と、失敗する人の違い

私は、この旅行のことを特に念入りに書き綴ってきたが、
この町に初めて入った時のことも、継続するつもりである。

だが、それと言うのも、成功とは、とても縁の遠そうな
私の最初の姿と、後に、この町で大きく出世するようになった
私とを、ウイリアムが思い比べてくれたらと、思うからだ。

晴れ着は、海を廻ってくるはずだったからだ。
私は、仕事着のままであったし、長旅で汚れてもいた。

ポケットは、シャツや靴下でいっぱいにふくれ上がり、
宿を頼もうにも、人も場所も知らなかった。

歩き疲れ、漕ぎ疲れ、睡眠不足に疲れ果てて、非常にお腹も空いていた。

 

持っているお金はといえば、わずかにオランダドル一枚と
銅貨でおよそ 1シリングあるばかり。
しかも、その銅貨を、私は船賃として船員たちにあげてしまった。

最初は、あなたも一緒に漕いだのだからと言って、受け取ろうと
しなかったのを、無理に言って受け取ってもらったのである。

人は、お金を沢山持っている時よりも、少ししか持っていない
時の方が、気前のよいことがあるものだ。

おそらく、お金がないと思われるのが嫌だからであろう。

 

それから、きょろきょろ辺りを見渡しながら通りを
山の手の方へ歩いて行くと、やがて 市場の建物の近くで
パンを手にした少年に出会った。

私は、これまでに パンだけで食事をすましたことが度々あった。

そのパンをどこで買ったのかと聞くと、教えてもらった
二丁目のパン屋へ早速買い行き、ボストンで売っているものと
同じものをもらうつもりで、小型のパンを注文した。

ところが、フィラデルフィアでは作っていないらしい。

そこで、今度は3ペンス・パンを注文すると、それもないという。

私は、お金の値打ちの違いも、そこの店のパンの安いことも
その名前も知らないのに、またそんなことは考えもしないで
どんなのでもいいから、3ペンス分だけくれと注文した。

すると、パン屋は大きなふくらんだ巻パンを3つ渡した。

あまりの大きさと量に圧倒されたが、取りあえず受け取り、
ポケットには入りきらないので、両脇に1つずつ抱きかかえて、
残る1つを食べながら歩きだした。

 

こうして私はマーケット通りを、4丁目まで上がり、
後に、私の義父となるリード氏の門口を通った。

ちょうどその時、私の未来の妻は戸口に立っており、
私を見つけると、恐ろしく不格好な滑稽な様子をしていると
思ったらしく、事実、その通りだったに違いない。

それから私は、クルリと向きを変えて 巻きパンを食べながら
チエスナット通りを通り、ウォールナット通りの一部を下って
行くと、ちょうど一回りしたことになった。

もとのマーケット通りの船着き場、乗ってきた船の側へ出たので、
その船へ行って川水を一杯もらった。

そして、巻きパン1つでお腹がいっぱいになったため、
残りの2つは、一緒の船で川を下ってきて、さらに旅を続ける
ために待っている、一人の婦人と子供にあげた。

 

こうして元気がついてきた私は、また通りを上って行った。

すると、この時には通りに 着飾った人たちが大勢いて、
みんな同じ方角に歩いていた。

私も一緒になって歩いて行くと、やがて市場近くにある大きな
クエーカー教徒の礼拝堂の中に入り込んだ。

人々に交じって私も腰を下ろし、しばらくは辺りを見回していたが、
みんな黙りこんでいることに気付く。

クエーカー教徒の集まりでは、会衆一同沈黙を守り、
 心の中で神と交わろうとする。

 

動き続けたのと、前の晩の睡眠不足とで眠くてたまらず、
いつしかぐっすりと眠りこんでしまって、集会が終わって誰かが
親切にも起こしてくれるまで眼を覚まさなかった。

だから、この礼拝堂こそ、フィラデルフィアで私が入った、
もしくは、眠った最初の家ということになる。

それから、また川のほうへと 会う人ごとに顔を
のぞきこみながら下って行くと、人のよさそうな顔つきをした
若いクエーカー教徒に出会った。

私は近づいて言葉をかけると、この土地は初めてなのだが、
どこへ行ったら泊めてもらえるか教えて欲しいと頼んだ。

私たちはその時、「三水夫楼」という看板のすぐ見えるところにいた。

 

「ここも」と彼は言った。

「旅人を泊める家ですがね、評判のいい家じゃない。
一緒に来るなら、もっといいところを教えてあげましょう」

そう言って、彼は私をウオーター通りにある
「先の曲がった杖」という宿屋へ案内してくれた。

そこで私は昼食を取ったが、食べている間にそれとなく
いろいろなことを尋ねられた。

年齢の若さや 身なりから言うと、どこからか逃げ出してきた
のではないかと、疑われたのだと思う。

 

昼食を済ませると、また眠たくなってきたので、
主人にベッドへ案内してもらい、服も脱がずに横になり、
夕方の6時に夕食に呼ばれるまで、眠りつづけた。

夕食後も、またじきに床に入って、翌朝までぐっすりと寝込んだ。

朝になると、できるだけスッキリと身支度をして、
印刷屋の経営者 アンドルー・ブラッドフォードのところへ行った。

店に入ってみると、ニューヨークで会ったあの老人、
この店の主人の父がきていた。

馬できたものだから、私より先にフィラデルフィアに着いていたのだ。

 

彼が私を紹介すると、息子は物腰やわらかに挨拶をし、
朝食を出してくれた。さらに言うには、

「最近人を入れたばかりなので、さしあたり自分の所では 人はいらない。

けれども、最近キーマーという経営者が、この町にいま一軒
印刷屋を始めたから、そこへ行けば 雇ってくれるかも知れない。

もし、そこも駄目なら喜んでうちにおいて上げよう。
仕事がもっと忙しくなるまで、時々手間仕事を回してあげてもいい」

老人は、その新しい印刷屋へ一緒に行って上げようと言ってくれた。
そして、キーマーという経営者を見つけると、ブラッドフォードは言った。

「今日は、あんたに引き合わせようと思って、同じ商売の若い人を
連れてきましたよ。きっとそんな人がいると思ってね。」

その経営者は2、3問質問したり、ステッキを渡して仕事ぶりを
見たりしてから、今のところ別段してもらうことはないが、
その中に働いてもらうようにしようと思う、と言った。

<フィラデルフィア上陸 / 本音を聞き出すズル賢い質問法>

by 上田真司

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