孤児施設の建設を計画した男との出会い


【其の109】孤児施設を設立した男

この時、私のポケットには、銅貨が一握りと、スペイン・ドル
の銀貨が3、4枚、それに、金貨で5ピストール入っていた。

が しかし、孤児施設を建てるための 寄付金は一銭も払わない。

と 一度 決めた私の心は、ホイットフィールド氏の説教が
進むにつれて 揺らぎだし、やがて、銅貨だけは寄付することに
しようと、考えが変わった。

さらに、今しばらく彼の話を聞いている最中に、前述のような
「自分は一文も出すものかっ!」と 決意した自分の考え方が
恥ずかしくなってきて、銀貨も一緒に寄付しようと考えを改めた。

だが、説教の結びが ひときわ見事だったため、私は、金貨も
なにもかも、ポケットの中にあった お金を、すべて献金皿に
あけてしまった。

 

この時の説教には、ジャントー・クラブの者も1人来ていたが、
彼は、ジョージアに孤児施設を建てることについては、私と
同意見であった。

そのため、ホイットフィールド氏は、きっと、献金を集める
つもりだろうと思い、彼の口車に乗せられ 寄付金を支払うこと
のないよう、念のため 家を出る時、ポケットを空にしていた。

しかし、説教が終わりに近づくにつれて、その彼も、孤児施設
を建てようとする ホイットフィールド氏の説教に 心を動かされ
献金したくてたまらなくなり、近所の人が傍に立っていたので
献金する お金を貸してくれないか、と頼んだ。

 

ところが、運の悪いことに、その 頼んだ相手というのが、
聴衆の中で、断固として ホイットフィールド氏の話に 心が
動かされなかった、おそらく 唯一の人物だったのであった。

頼んだ相手の彼が言うには、

「ホプキンスンさん、他の時でしたら いくらでもお貸し
 いたしましょう。ですが、今はダメです。お見受けするに、
 あなたは、頭が どうにかして いるようですから…。」

ホイットフィールド氏の敵の中には、

「 氏は、孤児施設を建てるために集まったお金を、自分の私用に
  当てようとしている。」と主張する人もいた。

だが、私は、彼の説教や雑誌などを印刷したことが あるので、
彼が どのような人物かは、よく知っている。

 

そんな私から見れば、かつて、彼の潔白を少しでも疑った
ことはなく、今でも その全ての行為において、まったく
正直なことな人物だったと、強く確信している。

だからといって、ホイットフィールド氏と、私との間には、
これといって、宗教上の繋がりがあった訳ではない。

そのため、彼の評価を上げる 私のこの証言は、信頼するに
値するものと見て良いと思う。

彼は 時々、私が 今まで信仰してきた宗旨を捨てて、他の宗旨に
改めるようにと 祈ることはあったが、最後まで、その祈りが
叶えられ、彼が 満足を味わうようなことは なかった。

私たちの関係は、世間一般的な友人関係にしか過ぎなかった。

だが、双方とも誠実で、その交遊関係は 彼が死ぬまで続いた。

<孤児院を設立計画 / 相手の性格を利用した文章の書き方>

by 上田真司

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